一月号
 
○ 正月の意味
 
      年の始めの正月とは、すべてのものが天地の始めに帰って、新しい生命によみがへる日と申せましょう。その喜びを古人は、“元日や神代のことも思はるる”とよんでいます。それはまた同時に神となった先祖が子孫の家に帰ってくる日でもありました。それを年神迎えといいます。年神が降りてくるヒモロギが門松です。年神にお泊りいただく場所が床の間です。めでたい掛け軸をかけて、鏡餅を飾るのは、その先祖の神が宿る御神体なんです。晴れ着を着るのも先祖の神をお迎えして祭るためです。お屠蘇やお雑煮を頂くのは、先祖の神に供えたご馳走を子孫である家族も頂くことで、先祖のみたまと一つになるという、所謂神人和楽の直会(なおらい・尊い方に対する饗応のこと)にほかなりません。お年玉は、年神の“みたま”を頂くことからきた言葉です。
 かように、お正月行事は先祖まつりと深く関連しているのです。そして、それが時代がいかに変わろうとも年ごとにくり返されることで民族の生命が永遠に受け継がれていくというのが、日本のお正月の伝える世界に類のない英知なのです。
 
○産土(うぶすな)とは
 
   国土が秘めた偉大な生産力、生み出す働きの大本を尊んで、“うぶすな”とたたえております。すなわち、自然も人もあらゆる生命あるものは、産土の力、お陰をいただいて生まれ出で、栄え行くことができるという太古以来の信仰に基づくものであります。この産土を神霊的にとらえたときに、これを国魂(くにたま)と申します。国魂の神の統率者がスサノヲノ神より全権委任を受けた大国主神であります。従って、この大国主神の統率下に全国津々浦々の産土の神が存在し、その地域の風土や産業、人々の気性や生活万端の風情に至るまで幽の力を発揚して特色をかもし出させていると言われております。
 言うなれば、人は生まれた所と、現在住んでいる所の産土の神によって、基本的な運気を織り成されているということですから、何かにつけて産土の神に祈念を込めながら、よき日本人として生きることができるように努力してまいりたいものであります。
 
○一月の祭典行事
  一月  一日 午前七時
    歳旦祭 (一切が天地の始めに帰るめでたい日に大神様に一年間の御守護をお願いする)
 
  一月 二日 午前十一時
    舞楽始  (宮中の儀式にならい、一年の招福を年始めの舞楽を奏でることにより祈念する)
 
  一月 三日 午前八時
    元始祭  (天孫降臨の始めを偲び、日本国の発祥を年の始めに感謝し皇室と国の隆昌を祈念する)
 
  一月 四日〜 終日<(土)・(日)の場合は(月)から>
    事始祭  (昔は政事始と言う。今日は官庁や会社の仕事始め祈願祭)
 
  一月 七日 午前八時半
    昭和天皇祭  (宮中皇霊殿なる昭和天皇御神霊を遥拝する)
 
  一月第二月曜日 終日
    成人祭 (成人式に当たり神様の前に誓いを立て、健勝を祈る)