十月号
 
○ 秋祭りの意味
 
      秋とは、「飽き食い(お腹いっぱい食べる)」からきております。
すなわち稔りを神に捧げて感謝の祭りを行うとともに、その神に捧げた食べ物を直会(なおらい)で頂戴することで神と人とが交流し、和合一体の心になる状態を意味するのです。まさに実りの秋そのものが祭りにほかならず命の喜びを謳歌することにもなるのです。従って、古来秋祭りこそが祭りの中の祭りと言われる所以でもあります。
 例えば、十月十七日の伊勢神宮神嘗祭(かんなめさい)はその年の初穂を天照大神はじめご関係の神々に捧げ、夜を徹して行われる年間最大の祭りであります。十月を「かんなづき」というのは、「かんなめづき」からきたと言われるのもこの祭りの重要さを示しております。従って、全国の神社の秋祭りもこれにならって、十月に集中しております。そして、それらすべての秋祭りのしめくくりとして行われる重儀が十一月二十三日の新嘗祭なのです。それを太古の姿さながらに最も厳重に行われておられるのが天皇みずから祭主となられる宮中新嘗祭であることは言うまでもありません。すなわち国土の霊魂が稲を通して天皇様に捧げられ、それを天皇様みずから天照大神とともに共食されて斎(いみ)籠ることにより、新しい年にふさわしい新たな生命力をよみがえらせるという、古代信仰に基づいているのです。
 「冬(ふゆ)」というのは、霊魂(みたま)が「増殖(ふゆ=ふえる)」という意味で、新嘗祭によって新しくよみがえった霊魂が、春(ハル=霊魂の力が外へ向かってハル季節という意味)に備えて増殖し、力を蓄えつつある季節ということにつながっているのです。
 いづれにしても大自然に抱かれた人の営みの中で、我々の祖先がおのずからにあみだした偉大な叡知が祭りの所作の中に籠められていることを忘れてはなりません。
 
○十月の祭典行事
  十月十三夜
  観月祭
 
十月  一日 午後十一時より  大連神社大前にて
      大連神社秋季大祭  <會て満州大連市鎮座の氏神様を先代宮司が内地奉還。全国氏子崇敬会主催>
 
  十月 六日 午後六時半より  水庭舞台にて(参観費・千円)
    管弦と舞楽の夕べ  <管絃 盤渉調音取・青海波 神前舞 龍宮 舞楽 納曽利・蘭陵王>
 
  十月 七日 午前十一時より  赤間神宮大前にて
    赤間神宮秋季例大祭  <明治八年赤間宮創立の佳日>
 
  十月十五日 午前十一時より  鎮守八幡宮にて
    鎮守八幡宮秋季大祭・敬老祭 <氏神様に秋の稔りを感謝し健康長寿を祈る大祭。延命ぜんざい・河豚鍋接待> 
 
  十月二十日 午前十一時より  赤間神宮大前・海岸にて
    うに供養祭  <山口県雲丹製造業組合主催。山口県が誇る雲丹の生産を祈願するとともに、雲丹の霊を鎮める>
(20日が(土)・(日)の場合、(金)か(月)に変更されます)
 
  十月下旬日曜日 午前十一時より  紅石稲荷神社にて
    紅石稲荷神社秋季大祭  <稲荷の神に感謝する秋の大祭>
   
○十月の言葉
やつかほ   うちと 昭和天皇御製
  八束穂を 内外の宮に ささげもて 
 
             はるかにいのる 朝すがすがし