理想の露出計を求めて その4
 〜 露出計の精度 〜


先日、アナログ露出計は精度が悪いと書いた。
その晩に風呂に入っているときに、気が付いたのだが、それは、当たり前なのであった。
もちろん、シックスチノー2の精度が悪いのは、セレン光電池を使っているから、という理由もある。
デジタル式の露出計はSPCを使用しているので、精度が良い。
だが、それだけではない。デジタル式の特徴として、内部にCPUを内蔵して、露出値を算出している。
露出値を計算するときに、たとえ、SPC出力が直線的でなくても、内部で補正してしまえばよいのだ。
出力特性が、ぐにゃぐにゃであったとしても、十分な精度で、ところどころの位置で、正確な露出値と出力値がわかっているなら途中の点は補完計算により求めることができるのである。アナログ式にはマネのできないワザである。
でも、各メーカが露出計に精度を求めて、どのようなことをやっているかは、私は知らない。


先日、カメラのシャッターダイヤルはデジタルである。と、いう話をしたが、若干訂正しようと思う。
実は、CPUなんてデジタル回路の最たるものであると思われているが、実はアナログ回路なのである。
でなければ、CPUの歩留まりなんてあるわけがない。アナログ回路であるから、特性にムラがあり、良い特性を持つものしか出荷できないのである。
論理回路は論理的に特性など持たないのである。しかし、である。
CPUはウエハーと呼ばれるシリコンの板に、回路を焼き付け機で焼き付けて作るが、このときにまったく一様なものができないのであろう。
だいたい、今ではCPUの周波数は450MHzから1GHzになろうとしている。昔、20年ほど前のアマチュア無線の世界では、430MHzでキャビティと呼ばれる周波数を考慮して寸法を決めた金属の箱の中にコイル等を入れて、430MHzという高い周波数を作り出していたのである。
ましてや、1GHzにもなれば、ちょっとした導体が、すぐに、リアクタンス成分やキャパシタンス成分*1を持ってしまうのである。
デジタル回路といえども、周波数を上げれば、上げるほどアナログ回路として、考慮しなければならなくなり、低消費電力にしようと思って、導体を細くすれば、宇宙線まで考慮しなければならなくなる。
昔、キャノンのT90を共同でデザインした、ルイジ・コラーニは、宇宙に直線は存在せず、あるのは曲線だけである。と言っていたとかいないとか。*2
世に、デジタル回路とは存在せず、あるのは概念だけである。
だから、アナログ好きの人も安心して下さい。すべてはアナログです。


ところで、話は変わるが、某お国関係の船に積まれている、DGPSの受信機はライツであった。GPSといえば、JRCとか古野電気と思っていたが、ライツってこんなものも作っているのね。と、感心してしまった。



*1 コイルとしての特性やコンデンサとしての特性です。

*2 非ユークリッド幾何学では、直線は無限遠の彼方で交わるんだよね。ルイジ・コラーニはこのことを言っていたのかなあ (笑)

ここの話は、なんでも知っている人を笑わせるために書いているので、なんでもかんでも信じないように...